残念ながら重度の歯周病や虫歯で歯を失い、入れ歯を作ることになった場合、完成までどのくらいの日数がかかるのだろう、と心配になりますよね。
また、抜歯をすることになった場合は、入れ歯が完成するまで歯がない状態でいることになるの?と疑問に思うことでしょう。
今回は、そんな方のために、入れ歯を作るまでの日数や工程、歯がない期間はあるの?という疑問について詳しく説明していきます。
目次
保険診療と自由診療で日数は変わる
入れ歯を作るときにかかる日数は、保険診療と自由診療で違いがあります。
まずは、一般的に入れ歯を作るときの流れを説明します。
口の中の型どり
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かみ合わせをとる
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仮の歯を並べ作った入れ歯で歯並びを確認する
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セット(完成)
自由診療の場合、流れは同じですがお口の型どりや調整をより精密に行っていきます。
このように入れ歯は作りたいと思ってすぐに手に入るものではなく、いくつかの工程を経て、完成します。
一つひとつの工程は、保険診療は1週間、自由診療は2週間~3週間あけて行うことが多いようです。
保険診療の完成までの日数
保険診療での部分入れ歯の場合は2週間から1ヵ月ほど、総入れ歯の場合は1ヵ月ほどで入れ歯が完成します。
その後、お口にしっかりと合うように調整が必要です。
調整の期間には個人差があり、装着しても違和感がなくなるよう微調整を重ねていきます。
自由診療の完成までの日数
自由診療では、部分入れ歯と総入れ歯どちらも2ヵ月から3ヵ月ほどの日数がかかります。
完成までは少し時間がかかりますが、患者さまのお口に合った入れ歯を作ることができるので、完成後の調整は比較的少なく済みます。
自由診療の入れ歯を作るために日数がかかる理由
保険診療では、入れ歯の作製方法や使うことのできる材料が決まっているので、食べ物を最低限かめる状態が完成形になります。
自由診療の入れ歯は、そのような制限がなく、歯の型どりや調整を精密に行うので、その分保険診療よりも時間がかかるのです。
オーダーメイドで作るから
自由診療で入れ歯を作製する場合、患者さまのお口に合わせたフィット感の高い入れ歯を作ることが可能です。
そのためには、どうしても保険診療よりも作業工程が多くなったり、細かい調整を行ったりする必要があります。
これが、保険診療より日数がかかってしまう理由のひとつです。
歯科技工士との密な連携で作り上げるから
患者さん1人ひとりに合う入れ歯は、歯科技工士という、入れ歯や歯のつめ物を作るプロフェッショナルと歯科医師が連携しながら作り上げます。
もちろん、保険診療の入れ歯も歯科技工士が作製しますが、細かい調整が必要な自由診療の入れ歯は、より綿密に連携をとる必要があるのです。
保険診療と自費診療のその他の違い
自由診療は、より患者さまに合った入れ歯を作るために、完成までに時間がかかるということがわかっていただけたと思います。
では、保険診療と自由診療の入れ歯、その他にどのような違いがあるのでしょうか。
費用、審美性、材質、残った歯への負担についてそれぞれ比較してみました。
保険診療の場合
費用 | 価格が安い。 総入れ歯の場合は8,000円~9,000円ほど。 部分入れ歯の場合は、4,000円~12,000円ほど。 (部分入れ歯は大きさに幅があり、金具がつくという点で、金額も幅広くなります。) |
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審美性 | 人工歯(歯の部分)が変色しやすい。 部分入れ歯の場合、金属の金具が見えてしまう。 |
材質 | 使える材質が決まっている。 人工歯も床(あごや歯ぐきに接する部分)もレジンというプラスチック素材を使う。 床は壊れにくいよう、厚みを持たせる必要があり、違和感を覚えやすい。 |
残った歯への負担 | 部分入れ歯の場合、金属の金具をご自身の歯にかけなければならず、負担がかかる。 |
自由診療の場合
費用 | 価格が高い。 使う材質や大きさにより、価格差がある。20万円~80万円ほど。 |
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審美性 | 入れ歯と気付かれないような、自然な仕上がりが可能。 |
材質 | さまざまな材質から選ぶことができる。 それによって、耐久性が高く、口の中の違和感を軽減する入れ歯を作ることができる。 |
残った歯への負担 | 金属の金具を使わないノンクラスプデンチャーやマグネットデンチャーなど、残った歯に負担がかかりづらい方法を選べる。 |
抜歯後入れ歯が完成するまで歯がない期間はある?
重度の歯周病や虫歯で、抜歯を余儀なくされた場合、歯がない期間はあるの?と心配になる人もいますよね。
結論から言うと、歯がない期間をなくす方法はあります。
即時義歯という、抜歯したその日に入れ歯を入れる方法があり、前歯など目立つ場所の歯を抜歯することになった場合などに採用されることがあります。
また、即時義歯は保険適用が可能です。
即時義歯をそのまま完成形として使っていくこともありますし、抜歯した部分の歯茎が治癒してから、改めて入れ歯を作る場合の仮の入れ歯として使うこともあります。
即時義歯の作製の流れ
即時義歯は、抜歯をする前に歯の型どりを行います。
模型を作製し、模型上で抜歯する予定の場所の歯を取り除き、それをもとに入れ歯を作るのです。
想像上で作っているので、完成後はしっかりと調整することが大切になります。
入れ歯を作り直す時はどのくらいの日数がかかる?
入れ歯を作り直す場合も、初めに作った入れ歯と同じくらいの期間や費用がかかります。
歯科医院を受診して、すぐに新しい入れ歯が手に入るわけではないので、日ごろから紛失や割ってしまうことがないように注意しましょう。
保険診療での注意点
保険診療で作った入れ歯に関しては、注意点があります。
保険診療の入れ歯は、作製後から6ヵ月は作り直しができないという、国が定めたルールが存在するのです。
歯科医院を変えたとしても、6ヵ月以内では作り直しができないので注意しましょう。
壊れてしまった場合など、例外もあるようですが、お住いの自治体によっても変わります。
なお、保険診療の入れ歯から自由診療の入れ歯に作り直す場合は、6ヵ月以内でも作り直すことが可能です。
調整は6ヵ月以内でもOK
調整することは6ヵ月以内でもできるので、入れ歯の不調を感じたら歯科医院を受診しましょう。
痛みを感じる部分を削ったり、かみ合わせを調整したりすることで解消することがあります。
それでも不調が続くときは、自由診療で入れ歯を作り直すか、セカンドオピニオンを検討してもいいかもしれません。
入れ歯を作った後は
入れ歯が完成したらそれでおしまい、ではなくアフターケアも大切です。
普段のお手入れは、流水を当てながら、歯ブラシで優しく汚れを落とします。
寝るときは入れ歯を外して、入れ歯洗浄剤を入れた専用ケースに漬けておきましょう。
また、作製した歯科医院での定期的な検診も大切です。
せっかく作った入れ歯が少しでも長持ちするよう、こうしたアフターケアもしっかり行っていきたいですね。
まとめ
入れ歯を作るまでの日数や、入れ歯が完成するまで歯がない期間はあるの?という疑問にお答えしました。
入れ歯が完成するまでの日数は、保険診療の場合は2週間~1ヵ月、自由診療の場合は2ヵ月~3ヵ月かかります。
他にも、保険診療と自由診療では、それぞれ違いがあることもわかっていただけたと思います。
抜歯後、入れ歯が完成するまでの歯がない期間は、即時義歯という方法で歯がない状態をなくすことが可能です。
即時義歯は、高度な技術や下準備が必要なので、事前に歯科医院にて相談することをおすすめします。