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合わない入れ歯を使い続けると起こるトラブル
入れ歯を入れると歯ぐきが痛くて困っているという方は、患者さまに合っていない入れ歯を使っているということです。
合わない入れ歯を使っていると、食事をするときに痛くて噛めない、話しづらい、外れやすいなど様々な症状やが起こります。
そのまま使い続けていると、歯ぐきを傷つけてしまう、かみ合わせが悪くなっていくというトラブルに繋がります。
その結果、顎の関節に負担がかかる、頭痛や肩こりに悩まされるというように、体全体にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
保険適用の入れ歯は、型どりやかみ合わせの確認も回数をかけられません。
そのため、保険適用外(自費)の入れ歯のように、綿密に調整されて作られた入れ歯よりも、痛みなどの症状が出やすくなります。
ただし、保険適用外(自費)の入れ歯でも、多少は不具合が出てしまうものです。
新しい靴を購入したときを想像してみてください。
お店で履いてみて、ぴったりだと思って購入したけれど、実際に歩いてみると、靴擦れを起こしてしまったという経験がある方も少なくないと思います。
靴の場合はだんだんと自分の足の形に馴染むことによって、痛むこともなくなりますが、入れ歯の場合はそうはいきません。
歯科医院へ行き、早めの治療や調整などの対処をすることで、歯ぐきの傷も浅く済み、入れ歯を入れたときの痛みも改善されます。
痛みや違和感を覚えたら我慢せずに、すぐに歯科医師に相談することをおすすめします。
入れ歯を入れて、歯ぐきが痛くなる原因と対処方法5選
1.初めての入れ歯でまだ慣れていない
初めての入れ歯は、口の中に入れると異物として認識され、違和を感じやすくなります。
口の中は非常に敏感でデリケートな部分なので、少しずつ入れ歯を使う練習をしていくことが必要になります。
食事は柔らかいものを、小さくしてから徐々に慣らしていくことをおすすめします。
会話もなるべく入れ歯を入れたまますることで、だんだんと口の中に馴染んでいきます。
痛いからと途中で諦めてしまうと、慣れることに更に時間がかかってしまうので、自分のできる範囲で練習を続けることが、入れ歯に慣れる近道です。
また、早めに歯科医院へ行き、調整してもらうことも痛みの改善に繋がります。
2.歯ぐきと接着している土台部分やかみ合わせが合っていない
食事中口を動かすと入れ歯が外れやすい場合や、歯ぐきと入れ歯の間に食べ物が挟まってしまい、噛むと痛いことがあります。
このとき、歯ぐきや粘膜などに傷ができる場合や、口内炎ができて痛みを引き起こすことがあります。
痛みが原因で入れ歯を装着しない期間が長くなると、歯は少しずつ移動してしまい、調整しても装着することができなくなります。
その場合はまた一から作り直さなければなりません。
痛みや違和感がある場合は、すぐに歯科医師にそのことを説明し、入れ歯を調整してもらうことが大切です。
どうしてもすぐに歯科医院へ行けない場合は、「入れ歯安定剤」を利用するという方法もあります。
入れ歯安定剤を使用すると、入れ歯がグラつかなくなり、食事や会話がしやすい、入れ歯と歯ぐきの間でクッションの役割をするので、噛んだときの痛みが軽減するなどのメリットがあります。
しかし、入れ歯安定剤の成分上、入れ歯に安定剤がこびりつき、剥がすのに時間がかかるというデメリットがあります。
また、安定剤の影響で、口腔内が不衛生になりやすくなってしまうので、あくまで受診するまでの応急処置程度にお考えください。
入れ歯を定期的に調整していても、時間の経過とともに保険適用の入れ歯は材質上早く磨耗してしまい、顎の骨が痩せていくことも避けることができません。
このように徐々に入れ歯が合わなくなっていき、また痛みや違和を感じることもあります。
その場合は、新たに入れ歯を作るという方法で改善することもあります。
3.部分入れ歯の引っかけるバネ(クラスプ)が問題となっている
部分入れ歯とは1本歯を失くした場合から、1本のみ歯が残っている場合に作製する入れ歯です。
部分入れ歯の場合、歯に引っかけるバネ(クラスプ)があるのですが、そのバネが強く締まりすぎていると、入れ歯を外すときなどに痛みを感じてしまいます。
また、歯周病が進行し、歯を支える骨が減少してしまうと、噛む力に歯が耐えられずにグラグラと動いてしまうということが考えられます。
この歯に引っかけるバネ(クラスプ)がかかっている場合は、入れ歯と一緒に動いてしまうため、歯ぐきを痛めやすくなります。
治療方法や対策としては、歯周病ケアをすることや、今までとは違う歯にバネ(クラスプ)を引っかけ、グラグラ動くのを抑えるという方法があります。
また、時間の経過とともにこのバネ(クラスプ)が変形してしまうと、入れ歯が外れやすくなってしまう場合があります。
上記のような症状のときは、調整や交換をすることで入れ歯を安定させることができますので、歯科医師に相談しましょう。
部分入れ歯とはどんなもの?部分入れ歯と上手に付き合う5つの方法 >
4.入れ歯の管理や衛生状態を保てていない
入れ歯は毎日使うものなので、衛生面での管理が大変と感じる方もいると思います。
しかし、清潔に管理ができていない入れ歯を装着すると口内炎や、歯周病の原因にもなってしまうので、注意が必要です。
また、正しく管理ができていないと、入れ歯の変形に繋がり、一度変形してしまうと装着が困難になる場合もあります。
以下の流れが基本的な衛生状態を保つ管理方法ですが、歯科医師の指示に従って管理するようにしてください。
まず、入れ歯の紛失を避けるため、保管場所を決め、必ずそこに保管することをおすすめします。
入れ歯は乾燥すると、ひびが入る場合や変形することがあるので、外した後は必ず保存容器に水も一緒に入れて、清潔に管理するようにしてください。
次に入れ歯の清掃方法ですが、入れ歯専用のブラシなどで、部分入れ歯の場合は、金具などの細かい所を特に意識して磨きましょう。
残った汚れで菌が繁殖し、口臭の原因にもなるので、入れ歯洗浄剤等での除菌も必ず行うようにしてください。
清掃方法での注意点は、入れ歯は熱湯やアルコールに弱く、変形する恐れがあるので、使用を避けてください。
また、歯磨き粉には研磨剤が入っている場合があるので、使うと入れ歯を傷付けてしまい、その傷に菌が繁殖してしまうので、歯磨き粉は使わないようにしてください。
5.何度調整しても違和感がなくならない
保険適用の入れ歯は、最短でできる工程で作製されています。
また、入れ歯の土台となる部分や人工歯に使える材料はプラスチック(レジン)のみとなります。
部分入れ歯の歯に引っかけるバネ(クラスプ)には金属しか使えません。
この材料に慣れず、何度調整しても合わず、もっと自分に合う入れ歯がほしいと思われる方は、保険適用外(自費)の入れ歯の作製をご検討ください。
保険適用外(自費)の入れ歯は、様々な種類の材料を使うことができ、綿密に型どりをして、かみ合わせの調整にも時間をかけ作製されるため、患者さまのご希望に沿う仕上がりとなります。
まとめ
新しい入れ歯を入れると、歯ぐきが痛くなる場合や違和を感じることは多々あります。
その場合の原因や対処方法をご紹介しましたが、痛みが改善し、その入れ歯で快適に過ごせていても、時間の経過とともに顎の骨が痩せてしまうことを止めることはできません。
口腔内の状態は絶えず変わっていきますので、入れ歯以外の治療方法を検討する必要が出てくることもあります。
まずは歯科医師に相談し、今後の治療の流れを決めることをおすすめします。