「磁石の入れ歯(磁性アタッチメント義歯)」に興味をお持ちの方は多く、「磁石で入れ歯がしっかり安定して噛みやすくなるのでは?」「金属のバネ(クラスプ)を使わないから、見た目が良くなるのでは?」というご相談をよくいただきます。
たしかに、磁石の入れ歯はとても有効な方法の一つです。
ここでは、磁石の入れ歯のメリット・デメリット、向いている症例を、患者さん向けに分かりやすくお伝えします。
磁石の入れ歯のメリット
・入れ歯の外れやすさ(垂直的な浮き)に強い
・金属バネが見えないため見た目が良い
・入れ歯をしっかり歯に覆わせる設計ができる
磁石は入れ歯側に入れ、歯の根(歯根)には磁石が付く金属を設置します。
これにより、入れ歯が浮き上がる力に対して強くなり、見た目の改善にもつながります。
注意したい点(デメリット)
磁性アタッチメントは万能ではありません。特に大切なのは、横方向(水平)の揺れに弱いという点です。磁石は、少しずれると磁力が落ちるため、「磁石だけで安定する入れ歯」を作るのは難しいという特徴があります。
そのため、以下の内容を総合的に判断し、使える場所に“補助的に”磁石を使うと効果的です。
・お口の中全体のバランス
・残っている歯や骨の状態
・咬み合わせ
・入れ歯の設計
こんな方に向いています
・入れ歯が外れやすくて困っている
・見た目のために金属のバネを使いたくない
・根管治療済みの歯(歯根)が安定して残っている
磁石の入れ歯はどのような歯に
使われるのか

(東京科学大学講義資料改変)
基本的には、以下の状態の歯で使われることが多い装置です。
・神経の治療(根管治療)をしてある歯
・歯冠を失って歯根が残っている歯
歯がしっかり残って咬めている場合は、わざわざ磁石を付けないこともあります。
MRI検査の受診は可能か

入れ歯を外せば基本的にMRIは可能です。
ただし、調べたい部位によっては歯側の金属を外す必要が出る場合があります。
その際は、担当医にご相談ください。
まとめ:磁石は「万能」
ではなく「優秀な補助ツール」
入れ歯が外れやすくて悩んでいる方は多くいます。
磁石は、そうした症状に対して頼れる補助ツールのひとつです。
大切なのは、患者さんごとの状態を診査→設計→必要な場所に正しく使うこと。そのうえで磁石を使えば、快適さや見た目の改善が期待できます。
磁石の入れ歯を検討中の方は、ぜひ磁性アタッチメントの経験豊富な専門医にご相談ください。
