質問その1:
歯のクリーニングの回数
歯のクリーニングを久しぶりにしてもらおうと思い、以前通ってた所とは別の歯科医院に行きました。初診なのでレントゲンを撮ったりその他検査等はわかるのですが歯のクリーニングは上顎のみしかしてもらえず、下顎はまた一ヶ月後に掃除になると言われました。
一度に掃除してほしいと伝えたところ「一度にクリーニングしたいのですが、予約枠の関係で難しいです」と言われました。きちんと予約を取っていたいのですが・・・。
歯科医院は部分的にクリーニングしないといけないという決まりがありますか?
質問その1の回答について
歯のクリーニングの回数について
今回の質問者様と同じように「歯のクリーニングをなぜ1度にしてくれないのか?」といったご相談をよく受けます。何度も通うのも大変だし、お金もうけのためなのか?と思う方も中にはいらっしゃるかもしれません。
全然そんなことはなくて、クリーニングの回数(頻度)は歯周病の重症度や歯石の量や硬さなどによって大きく変わってきます。
*歯石とは歯垢(食べかす)という細菌の塊が石灰化したもの
歯周病もほとんどなく、プラークや歯石も少量しか付いていない方であればそれこそ1回のスケーリングと呼ばれるクリーニングで終わることもあります。
しかし、歯石が大量についていたり、硬くてなかなか取れない場合どうしても回数(頻度)や時間がかかることがあります。
また、歯ぐきの奥に潜り込んでいる歯石を縁下歯石といい、それを取り除くにはSRPというクリーニングが追加で必要となります。
SRPは保険で行う上で本数制限がありますので、一気に行うことはできません。仮に全ての歯を行うとなると約4-6回は必然的に回数(頻度)がかかります。
そしてまた、一度に大量の歯石を取り除くと術後の痛みや出血やしみる症状など患者様への負担が過重となることも回数(頻度)がかかる理由の1つとなります。
今回の質問者様の歯周病の状態や歯石の付着具合は実際にわかりかねますが、それらに関連して、1回で終わる場合と何回かクリーニングに通わなければいけない場合がありますので参考にしていただけたらと思います。
クリーニングの回数をかけたくない方へ
保険診療ですとどうしても数回に分けてクリーニングをしないといけない・検査をしないといけない等のルールがあります。
こればかりは国で決められたルールなので保険診療で行っていく以上は仕方がない部分になります。
しかし、保険のきかない自費診療でクリーニングを進めていく場合には、こうした保険で決められたルールに従うことなく一気に本数を進めることも可能です。
ただし、負担金額が高くなるのと、先ほどもお伝えした通り、歯周病の状態が悪い場合には一気に歯石を除去すると術後の痛みや腫れなどの症状が強く出ることがありますので、よく担当医と相談した上で決めるとよろしいかと思います。
スケーリングとは
主に歯ぐきの上に付いている歯石(縁上歯石)や汚れを取るクリーニングのことを言います。超音波スケーラーという器具を使用し、超音波の力で振動させ歯石を除去します。治療回数は大体1~2回で済むことが多いです。
SRP(スケーリング・ルート・プレーニング)とは
スケーリングでは取りきれない歯ぐきの奥に潜り込んでいる歯石(縁下歯石)や汚れを取るクリーニングのことを言います。手用スケーラーという器具を使用し、手作業で歯石を除去します。
痛みを感じる場合は麻酔をして行うこともあります。
1度の処置で4~6本程度が限度なため、治療を行う本数に応じて回数(頻度)も変わります。
質問その2:
虫歯と着色の判断
担当した衛生士が医師に虫歯があるって伝えていたのですが、歯科医師の診断は色素沈着となりましたが、「やっぱり(虫歯のとこの)引っ掛かりが気になるから次回は虫歯治療と下の歯のクリーニングをしますね」という返答でした。
こういったケースはよくあることなのでしょうか??
質問その2の回答について
虫歯と着色について
虫歯は進行状況によって、C0〜C4の5段階に分けられ、虫歯の治療はその進行具合によってそれぞれ変わってきます。今回の質問者様のお話から察するにおそらくC0〜C1程度なのかなと予想されます。
COというのが「要注意の歯」のことです。歯の表面の白濁や色素着色はありますが、まだ虫歯にはなっていないので削らず経過を見ることが多いです。ただし、先の細い器具などで一部小さな穴や引っかかりが確認できるようなら歯の表面にある「エナメル質」に限局したC1という虫歯となります。
今回のケースでは初めは表面の着色(C0)といった判断だったが、一部引っかかることがあるということで最終的にはC1の診断を下したということが予想されます。
その場合は、早期に治療を進めたほうが歯を削る量を小さく抑えることができますので、仮にC1に罹患している場合は症状が進まないうちに虫歯治療を行うことは間違いではないかと考えます。
また虫歯ではなく着色汚れやヤニで歯が黒くなってしまった場合には、PMTCと呼ばれる専門的なクリーニングを施術することで歯本来の白さを取り戻すことができます。
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)とは
専用の器具とペーストを使い、普段の歯磨きでは落とす事のできない着色汚れ・タバコのヤニなどを除去するクリーニングのことを言います。
歯本来の白さを取り戻すことができ、歯周病や虫歯の予防にも大変効果があります。自費診療のクリーニングとなります。
まとめ
クリーニングの回数(頻度)は歯周病の重症度や歯石の量や硬さなどによって大きく変わってきます。また、患者様のニーズにあった選択として自費診療での対応もできますので担当の先生とよく相談して決めるのが良いでしょう。
そして、着色があるからといって必ずしも削らないといけない虫歯というわけではありません。但し、一度進行してしまった虫歯に関しては自然治癒することはないので、早期治療をしたほうがいいケースもあります。
こちらに関しても先生の説明をよく聞いて納得した上で治療を受けるのが良いでしょう。