質問
何年か前に根管治療を受けたのですが、中で細菌が繁殖し膿が溜まってしまい現在2度目の根管治療中です。膿を出す為に歯を開放し、その後仮蓋をしたタイミングがありました。
しかし膿が完全に出し切れていなかったらしく、そこに蓋をしてしまったので歯の中で圧がかかりすぎてしまい激痛を感じ、更に歯茎からも膿が出てきました。慌てて同じ歯医者に見せに行った所、薬を飲みながらもう一週間開放となりました。
その後1週間おきにリーマーを使って2度治療をしてもらいましたが、治療中もズキズキした痛みを感じました。先生も少し痛いと思うと仰っておりましたが、少しどころの痛さではありませんでした。
次回は根っこに薬を入れるのでもうすぐ終わりですと言われました。
そこで疑問なのですが、ここまで痛むという事は、
・まだ神経が残っている
・炎症を起こしている
のどっちかだと思うのですが、本当に次回は根っこに薬を入れて終わりで大丈夫なのかとても不安です。実は治療が終わった今もズキズキと痛みます。
治療中に麻酔をお願いすれば痛みは無くなるのでしょうか。
無くなったとしても治療がしっかりとされているか不安で仕方ないですが。。
根管治療とは
歯の根の治療(根管治療)とは、深い虫歯などで歯髄と呼ばれる歯の中の神経が炎症や感染を起こしてしまった場合に、傷んだ神経を取り除き清掃する治療のことをいいます。
歯の根の治療は、歯髄を取り除いて消毒を行う「抜髄処置」と、以前に根管治療が終了している根が再び感染してしまった場合に行う「感染根管治療」に分けられます。今回の質問者さまのケースですと2度目の根管治療ということですので、感染根管治療となります。
今回、痛みが出た理由
根管治療をすると、根の中の細菌などの感染源が根の先からからだの中に入り込みます。それに対し、膿や感染源を排出しようとからだの中の免疫反応が活発となり、痛みが生じることがあります。症状が軽い場合は約1週間ほどで痛みは治まります。
しかしながら、根の先から出た細菌が暴れ出し、痛み止めが全く効かないほどの激痛や腫れ(フレアーアップといいます)が出ることも稀にあります。
今回のケースの対処法
痛みや腫れの対処法としては、症状やケースによって異なる部分もありますが、根の中を洗浄し膿が出るようなら排出します。
化膿止めの抗生物質や痛み止めの服用も効果的です。また、お風呂に浸かったり、アルコールや運動など血行が良くなることは避けるようにしましょう。
治療を受けた後に、大きな痛みや腫れが生じると、前の治療に何か問題があったのかと、とても不安に感じますよね。
根管治療後の痛みは治療の予後や成功率とは関係ないです。適切な根管治療を続ければ痛みも無くなりますのご安心ください。
術後の激しい痛み
(フレアーアップ)の原因
術後の激しい痛み(フレアーアップ)の主な原因は
①機械的要因
根の中を触る器具による刺激
②化学的要因
根管洗浄剤(根の中を洗う薬剤)による刺激
③細菌学的要因
根の中の細菌が根の外に出た刺激
の3つがあるといわれています。
根管治療後の痛みやフレアーアップを防ぐためにできること
痛みの出る一番の原因は細菌由来によるところが大きいです。細菌感染を防ぐ・細菌数を減らすためにできる取り組みとして
① ラバーダムの使用
② マイクロスコープの活用
が挙げられます。
① ラバーダムの使用
ラバーダムとは治療中に唾液や細菌が入らないようにするために治療する歯だけを露出し、薄いゴムのシートを張る処置のことをいいます。
細菌感染を防ぎ無菌状態にすることで痛みの発生を防ぐことができます。
② マイクロスコープの活用
根の中は非常に複雑で細かい形態になります。マイクロスコープを使用し、高倍率で治療することによって、肉眼では見えなかった細菌や汚れを取り除くことができるため、痛みの発生を防ぐ要因の1つとなります。
ただし、どんなに最善と思われる治療を尽くしても、痛みや腫れが引かない。治らない根管治療のケースも、ごくまれにあります。
治らない根管治療に関しては、
・根の先にできたのう胞と呼ばれる病巣を外科的に摘出(歯根端切除術)
・専門医ヘの紹介
・予後不良のため抜歯
を行うことがあります。
根管治療が難しいケース
・炎症の範囲が大きい
・根の形が複雑
・根の中で大きな穴が開いている
・根が破折している
・歯周病が重症化している
こうしたケースですと、根管治療の回数や時間がかかったり、根管治療を行うことが難しい場合があります。
こうしたケースですと、根管治療の回数や時間がかかったり、根管治療を行うことが難しい場合があります。
専門医のご紹介
当院での根の治療がどうしても困難な場合や、根の治療を何度繰り返しても予後が悪い場合などには根の治療の専門医を紹介させていただくことがあります。
大切な歯を残すための選択肢として、当院では信頼できる根管治療専門医をご紹介しております。
まとめ
根管治療を行うことで痛みや違和感が出ることはあります。ほとんどのケースでは1週間以内には消失しますが、痛みが激しい場合にはすぐに歯科医院に連絡しましょう。
当院では、術後の痛み止め・必要に応じて抗生物質の服用、術中も痛みが出そうな時・出た時には麻酔を行ったり、痛み止めの服用をし、痛みに配慮しながら根管治療を行っております。
また、根管治療は非常に難しい治療なので、回数・期間がどうしてもかかってしまい
ます。
ただ、根管治療を中断してしまったり、放置してしまうと、さらに悪化し、最悪歯を残せなくなる可能性もあるため、必ず最後まで治療を終えるということが重要です。