現役歯科医師監修 歯のクリーニング 総まとめ

みなさん、歯のCMや歯医者さんで「歯のクリーニング」という言葉を耳にしたことはありませんか。

歯のクリーニングとは、一体どういうものなのでしょうか。

今回こちらの記事では、歯医者さんで行うクリーニングの内容、種類、必要性、費用などなど、、、事細かに触れるのと共にご自宅で今日からできるクリーニングの仕方も一緒にご紹介しています。

ぜひ、ご覧になって参考にしてみてくださいね。

1. 歯のクリーニングとは?

歯医者さんで行う歯のクリーニングとは、歯科医師や歯科衛生士によって、毎日の歯磨きでは落とすことのできない歯の表面にこびりついた汚れや、歯と歯ぐきの間に溜まっている汚れを専用の機器や器具で取り除く治療法です。

お口の中の汚れには、大きく分けて3つあります。

  1. プラーク(歯垢)
    歯に付着している細菌とその細菌が作り出すもの。
  2. 歯石
    プラークが石灰化して固まったもの。歯周病の主な原因となります。
  3. ステイン(着色)
    タバコのヤニやコーヒー、紅茶、赤ワインなど色素が沈着したもの。

などがあります。これらの汚れをキレイにするのがクリーニングです。

2. クリーニングが必要な理由

「なんで、痛くもないのにクリーニングのためにわざわざ歯医者さんに行かなきゃいけないの?」「自分できれいにするだけじゃダメなの??」と疑問に感じた方もいるかもしれません。

ここでは、歯医者さんでクリーニングが必要な理由についてあげていきます。

2-1. 口の中は細菌がいっぱい!!

虫歯や歯周病は口の中の細菌による感染症です。

プラーク(歯垢)は歯の表面に付着した汚れで虫歯や歯周病の原因となります。プラークはなんと1g中に約300種以上の細菌を約1000億個も含むと言われています!!

そして、細菌同士がしっかり手をつなぎネバネバとした付着性を持ったバイオフィルムとなったプラークは、お口のなかにいつまでもとどまり続け、そこにまた細菌が付着し増大していきます。

また、プラークに唾液中に含まれるカルシウムやリン酸が沈着して石灰化すると、歯石と呼ばれる硬い汚れへとなります。

2-2. 日本人の約80%が歯周病!!

歯周病とは、歯の周りの炎症によって、歯を支えている骨を溶かしてしまう恐ろしい病気です。重度に進行すると歯がグラグラ揺れてきて、歯を失う主な原因となります。

歯周病の原因となるのが、先にお話ししたプラークや歯石であり、歯医者さんでのクリーニングやご自宅でのセルフケアが肝になります。

日本人の約80%以上がかかっているといわれている病気で、決して他人事ではない問題なのです。

2-3. 普段の歯ブラシでは絶対落とせない!!

歯石やバイオフィルムや強固にこびりついたステイン(着色)は普段の歯ブラシでは絶対落とすことができません。

ネバネバしたバイオフィルムや歯石の周囲にはプラークが停滞しやすいので、確実に取り除く必要があります。

こうした理由からも歯医者さんで専用の機器を使用して、早めに歯石やバイオフィルムを取り除いてもらう必要があります。

2-4. 虫歯や歯周病になりづらくなる

虫歯や歯周病の原因となるプラークや歯石を取り除いたり歯の表面をツルツルにすることで、お口の中に汚れがたまりづらくなり、虫歯や歯周病になりづらいお口の中の環境を作ることができます。

このいい状態を維持するためにも定期的にクリーニングを受診することも非常に大切なこととなります。

3. クリーニングはこんな人にオススメ!!

  • 歯周病と診断された方
    主に原因となっているプラークや歯石を取りのぞき、炎症を軽減させることができます。
  • 虫歯や歯周病を予防したい人
    蓄積したプラークや歯石を取りのぞき、虫歯や歯周病の進行を防げます。
  • 口臭が気になる方
    口臭の90%がお口の中に原因があり、歯周病や虫歯や歯石によって、臭いが発生されます。
    定期的に歯のクリーニングを行うことにより口臭の改善、予防にもなります。
  • 歯についた着色(ステイン)を落としたい方
    お茶やコーヒーやタバコのヤニを取り除き、歯本来の白さを取り戻すことができます。

4. クリーニングを行う前の検査

歯のクリーニングを行う前には、少なくとも、虫歯、歯周病の検査とレントゲン検査は行う必要があります。

それは、歯周病や虫歯の進行具合によって、クリーニングの仕方や回数が変わってくるからです。
予防や歯周病に力を入れている歯科医院では、さらに多くの情報を得ることのできる検査も取り入れている場合もあります。

ここでは、クリーニングを行う前のいくつかの検査についてご紹介していきますね。

4-1. プロービング検査

歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)にメモリのついた器具(プローブ)を挿入し、ポケットの深さを測ります。それと同時に、歯ぐきからの出血や膿の出現の有無を調べることができます。

歯ぐきに腫れや炎症が起こると、歯と歯ぐきの溝の歯周ポケットが深くなっていき、出血や膿もみられることもあります。さらに進行してしまうと歯を支えている骨を溶かしてしまうこともあります。

一般的に1〜3mmが正常な深さと言われており、それ以上の数値が認めれた場合は歯周病が進行していると言えます。

4-2. 動揺の検査

ピンセット状の器具で歯の動揺度(ぐらつき)をチェックする検査です。歯周病が進行すると徐々に歯を支える顎の骨が溶かされていくので、悪くなるにつれて揺れは大きくなります。

4-3. プラーク染め出し検査

普段の歯ブラシで、歯磨きの磨き残しがないかをチェックするために、特殊な薬で汚れを染め出して確認することができる検査になります。

多くの場合は、それぞれの磨き癖によって磨き残しがみられます。鏡で確認しながら、磨き残しやすい部分を重点的に指導してもらい、正しい歯磨きの仕方を習得してもらうのに効果的です。

4-4. レントゲン検査

レントゲン撮影により、虫歯や歯の根っこの病気の有無を確認すると同時に、歯を支えている顎の骨の量を調べることができます。

口内環境は目に見える部分だけでは判断することが難しい時もあります。特に歯周病のように潜在的に進行していく病気はなおさらです。

歯周病や虫歯のトラブルを未然に防ぐためにもレントゲン写真は撮っておくことをお勧めします。

4-5. 口腔内写真

口腔内写真とは、治療前や治療後にお口の中の写真を撮ることです。

お口の中の写真を撮ることにより、患者さんにもよりわかりやすく説明することができます。また、治療前後の写真を残しておくことで、お口の中の比較をすることができたり、患者さんのモチベーションの向上にも大きくつながるなど様々な利点があります。

4-6. 唾液検査

唾液を検査して何が分かるの??と疑問に感じる方もいるかもしれません。実は非常に多くの大切なことがわかるんです!

唾液検査のやり方としては、味のしないガムを5分間噛み、唾液を採取するだけなので、痛みは全くありません。

唾液検査は保険のきかない検査になります。

唾液検査からわかること

  1. 唾液の分泌量
    唾液には、自浄作用や中和作用、抗菌作用などがあり、分泌量が少ないと虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。
  2. 唾液の緩衝能
    唾液には酸を中和して虫歯を防ぐ働きがあります。唾液の中和力が弱いと、虫歯になりやすくなってしまいます。
  3. 虫歯菌の数
    虫歯菌の数が多いほど、虫歯リスクが高く、適切な予防処置が必要になります。

4-7. 位相差顕微鏡検査

位相差顕微鏡とは、口の中の細菌を確認できる特殊な顕微鏡のことです。

歯周病は歯石やプラークの中に含まれる細菌によって引き起こされますが、口の中に住んでいる細菌は数百種類とも言われています。

そのため、患者さんによって原因になっている細菌は異なるわけで、その原因となる細菌がわかることで、その人にあった治療法や歯周病の進行リスクがわかるのがこの検査なのです。

5. 歯のクリーニングの種類

歯医者さんで行う歯のクリーニングは、大きく分けて「保険適用」のものと「保険適用外」のものとになります。

保険適用のクリーニングは主に歯周病治療が目的です。

保険適用外のクリーニングは着色の除去や予防を主としたものとなります。

5-1. スケーリング

スケーリングとは、超音波スケーラーやハンドスケーラーという専門器具を使ってプラークや歯石を除去することをいいます。

超音波スケーラーは、超音波振動の力で歯石を粉砕し、水で洗い流して除去します。ハンドスケーラーは、先端に刃のついた細い器具で歯石をカリカリと削りおとします。

歯ぐきの上の柔らかい歯石は、比較的簡単に除去できるのに対し、歯ぐきの中に入り込んでしまった歯石は硬くて歯にこびりついているため取るのも時間がかかります。

保険適用の治療であり、歯医者さんで行うクリーニングの多くがスケーリングといえます。

回数は、柔らかい歯石の除去だけなら1〜2回で済みますが、歯ぐきの下に入り込んだ硬い歯石除去は、場合によっては4〜6回ほどかかることもあります。

5-2. PMTC

PMTCとは「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略で「専門家による機械を使った歯面清掃」を意味します。

専用の器具を使い、毎日の歯磨きで落とす事のできない細菌の塊であるバイオフィルムを除去することができます。また、着色汚れやタバコのヤニも除去することができるのがこのクリーニングの強みなのです。

PMTCで使用する器具は特殊で、回転ブラシやラバーカップ、ラバーチップなどを機器に取り付け、歯の汚れの付着した場所に応じて使い分けていきます。その際、専用のペーストを歯につけて汚れを落としていきます。

PMTCは原則、保険外で行われるクリーニングになります。

5-3. エアーフロー

超微粒子撥水パウダーと水を同時に吹き付け、歯の汚れを強力ジェット噴射で落とします。これにより、歯にこびりついたタバコのヤニの除去やステイン(着色)の除去を落とすことができます。

エアーフローによるジェットクリーニングも原則保険適用外のクリーニングとなります。

5-4. フッ素塗布

虫歯予防にはフッ素を塗ると効果的とされていて、初期段階の虫歯であれば、フッ素を塗るだけで治癒させることが可能です。また、クリーニングの仕上げにフッ素を塗ることは歯の再石灰化を促進させ、歯を丈夫にすることにもつながっていきます。

ちなみに歯磨き粉にもフッ素の成分は含まれていますが、歯医者さんで行うフッ素塗布はより高濃度のフッ素を使っており、虫歯予防の効果がより強いものになります。

6. クリーニング後に起こる事

クリーニングをした後に、一時的に歯がしみたり、痛みが出たりすることがあります。
その原因とそれ以外にクリーニング後に起こりうる変化についてここでは挙げていきますね。

6-1. 知覚過敏で歯がしみる

歯ぐきの中の歯石除去を行うと歯ぐきが引きしまり歯がしみることがあります。

これは、歯石を取る前は歯石や汚れで根っこの周りが覆われていまいたが、歯石を取ることによってお口のなかに直接、歯の根の部分が露出してしまうため、知覚過敏が起こることがあります。

6-2. 歯ぐきが引き締まって下がる

深い場所にある歯石を取ると腫れていた歯ぐきが引きしまり、歯ぐきが下がったように見えることがあります。

ただし、この状態が現在の正常な歯ぐきの状態になりますので、異常な事ではありません。

7. お家でできるクリーニング

歯石や着色は時間が経つとどうしても付いてしまうもの。

そのために歯医者さんでのクリーニングはもちろん欠かせませんが、自分で歯石の前段階であるプラークをしっかり落とすことがとても大切なのです。

ここでは、お家で行うセルフケアについて触れていきますね。

7-1. 自分にあった歯ブラシを選ぶ

歯ブラシには様々な種類があり、ヘッドの大きさ、毛のかたさなどに違いがあります。

磨く強さや歯ぐきの状態、歯の質などを考慮して適切なかたさを選ぶことが大切です。例えば、歯周病で歯ぐきに炎症が起きているのに、かための歯ブラシで磨いていると、歯ぐきに負担をかけてしまうこともあります。

また、ヘッドが大きいものは全体を磨くのには適していますが、細かな部分は届きづらいこともあります。

まずは、自分の症状にあった歯ブラシを選択することが大切です。

7-2. 正しい磨き方を習得する

歯垢は歯と歯ぐきの境目につくので、この場所を目がけて歯ブラシを当てます。歯ブラシの毛先が、歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当たるようにしましょう。

歯と歯ぐきの溝(歯周ポケット)に毛先を確実に当てることがポイントです。

また、力を入れすぎないようにペンを持つような持ち方で優しく磨きましょう。強い力でゴシゴシしなくても、歯ブラシの毛先を当て、小刻みに振動させるだけで歯垢は落とすことができます。

7-3. 歯磨き粉に頼りすぎない!!

歯磨き粉をたっぷりつけてお口の中が泡で満たされ、スッキリすることによりお口全体を磨いた気になっていませんか?

歯磨き粉には、虫歯や歯周病を予防する役割や汚れを効率的に取り除くことができるといった効能はもちろんありますが、あくまで基本は歯磨きです。

歯磨き粉だけに頼らず、歯ブラシを使いこなすことをまず目指しましょう。

7-4. プラーク、歯石のたまりやすい場所を知っておく

下の前歯の裏

下の前歯の裏側には舌下腺という唾液を作る器官の出口があります。
前歯の裏にプラークがあると唾液の成分ですぐに歯石になってしまいます。

上の奥歯の頬側(おもて面)

上の奥歯の頬側には耳下腺という唾液を作る器官の出口があります。そこにプラークが残るとすぐに唾液の成分で歯石になってしまいます。

歯と歯の間や歯ぐきとの境目

歯の間や歯ぐきの隙間は、歯ブラシの毛先が届きづらい箇所になり、汚れが停滞しやすい場所になります。

歯並びが悪いところ

歯並びが悪いと、歯ブラシが届きづらい部分が多くなります。そのため、どうしてもその部分には、プラークや歯石が溜まりやすくなってしまいます。

汚れがたまりやすい場所を把握し、そのポイントを磨く術を覚えて、しっかりと汚れを落とすことが歯ブラシの質を上げる近道なのです。

7-5. デンタルフロス、歯間ブラシを使う

「デンタルフロス」と「歯間ブラシ」はそれぞれ歯ブラシで丁寧に歯垢を落とした後、仕上げとして使用するものになります。

歯ブラシだけで落とすことのできる汚れは全体の約60%と言われていて、歯ブラシだけのクリーニングでは、歯と歯の間の汚れを十分に落とすことができません。

ですので、デンタルフロスや歯間ブラシのような、歯と歯の間に残された歯垢の除去に特化した補助的清掃用具を使用することをお勧めいたします。

1日3回適当に磨くよりも、1日1回でもフロスや歯間ブラシを使ってしっかり丁寧に磨く方が実は効果的なんです。

8. クリーニングにかかる費用は??

歯周病治療を目的とするクリーニングは、歯周病という病気を治すという目的から保険診療が適用されます。内容にもよりますが3割負担の方で3,000円前後くらいです。

着色除去を目的としたクリーニングは、原則的に病気ではないため、自費診療(保険適用外)となります。

自費診療となりますと、医院により内容やオプションも様々であるため、約5,000〜20,000円とばらつきがあります。

9. クリーニングの通院回数、頻度

付着した汚れや歯周病の状態にもよりますが、通常2〜6回の通院が必要になります。

クリーニングは定期的に受診することをオススメします。なぜなら歯石は一度取り除いても、時間が経つと再度形成されるからです。

頻度の目安は、1〜3か月に一回がベストです。最低でも半年に一回は受けるようにしましょう。ただし、人によって頻度は異なります。それは、歯石のつき具合や歯周病の進行度が人によって違うからです。

自分にあった間隔でクリーニングを行いましょう。歯医者さんで相談すると確実です。

10. クリーニングじゃ改善できないこともある

ここまで、歯のクリーニングに関しての利点をたくさん伝えてきましたが、クリーニングが必ずしも万全なわけではありません!!

クリーニングではどうしても改善することが難しいケースもあります。

以下に、ご紹介させていただきます。

10-1. 進行してしまった歯周病

歯周病が進行し、歯を支えている骨の吸収が進んでいたり、歯の揺れが収まらなかったり、歯周ポケットの溝奥深くまで歯石がこびりついて取れないときなどは、歯ぐきを切って開くといった外科的なアプローチが必要になることもあります。

ケースによっては、骨の再生を促すお薬を入れたり、場合によっては歯を保存することができないケースもあります。

10-2. 歯を白くはできない!!

クリーニングを行うと歯は白くなりますか?といった質問を患者さんから受けることがよくあります。

クリーニングで行うことができるのは、あくまで歯の表面についた汚れやステインを取り除く処置なので、歯そのものの色を白くすることはできません。

歯を白くする処置は「ホワイトニング」と言われるやり方になります。

ホワイトニングには、歯医者さんで行うタイプのものと、お家で行うタイプの2種類に分けられます。

歯医者さんで行うホワイトニングは「オフィスホワイトニング」と呼ばれ、歯にホワイトニング剤を塗布し光を当てて白くしていくやり方になります。

自宅で行う歯のホワイトニングを「ホームホワイトニング」と言います。

専用のマウスピースの中にホワイトニング剤を入れ、ご自宅で約2時間装着してもらうものになります。

ちなみに、ホワイトニングは保険適用外の治療となります。

11. 定期的なクリーニングで変わる歯の健康

歯を健康に保つために1番大切なのが、治療ではなく、予防なのです。

そして、もっとも効果的な予防こそが、自宅で行う毎日の歯磨きと歯医者さんで定期的に行うプロフェショナルなクリーニングなのです。

定期的なクリーニングを受けることで、きれいな状態を維持することができ、歯を将来にわたって健康に保てる可能性がぐっと高まるのです。

12. まとめ

いかがでしたでしょうか。
「歯のクリーニング」について理解することはできましたか。

歯医者さんは、歯が痛くなってから行くところとお考えの方も多いのではないでしょうか。

美容院で髪の毛をお手入れするのと同じで、定期的に歯科医院に通い歯や歯ぐきのお手入れをしていくことが、歯の健康を維持するのに大切なんですね。

年齢を重ねても自分の歯でおいしく食事をすることができる幸せは他のなにものにも変えがたいものですよね。実際に、歯科医院で定期的にクリーニングを行なっていれば80代でも多くの歯を残せるという報告があります。

歯周病や虫歯は、症状が出てからではすでに手遅れの場合が殆どです。一度削った歯はもうもと通りにはなりません。今ある歯を長く残し、守るためにも、クリーニングをぜひ受診することを強くお勧めします。


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