歯ぎしりについて

歯ぎしりの原因

歯ぎしりの原因は何かを考えるとき参考にしたいのは「どれくらいの人が歯ぎしりをしているのか」ということです。

データをとりにくい事柄なのではっきりしたことはわかりませんが、8パーセントくらいの人が毎晩習慣的に歯ぎしりする、という研究があります。

かなりいるとも言える、案外少ないともいえる微妙な数字ですが、一方で歯ぎしりをしたことがないという人はいません。

だとすると歯ぎしりの原因は何かというより、人はどうして歯ぎしりをするのかと考えた方がよいのかもしれません。

歯ぎしりの原因は「科学的にはまだはっきりしていない」ということになっていますが、多かれ少なかれみんながするものだとしたら、将来医学が進めばはっきりするという問題でもなさそうです。

多くの場合精神的なストレスが歯ぎしりに関係している点では研究者の意見が一致しています。

ストレスにともなう反射作用ともいえるし、ストレスを解消するための生理作用ともいえます。

これは「悲しさ」と「涙」の関係に似ていますね。

そうすると寝ているときに無意識にする歯ぎしりは、昼間のストレスの解消ということになります。

ストレスの大きい人がみな歯ぎしりをするわけではないので、人によって解消のしかたが違うということなのでしょう。

性格的に負けず嫌いで競争心の強い人に歯ぎしりが多い、などいろいろいわれていますがこのような見解に確たる根拠はなさそうです。

逆流性胃腸炎で食道に胃酸が逆流したとき歯ぎしりが起きる、というのは最近注目されている新しい研究です。

歯ぎしりしたときに唾液が分泌されて、胃酸を胃にもどすはたらきをしているというのです。

このほかアルコールやニコチン、カフェインで歯ぎしりの頻度が増えるというデータがありますが、歯ぎしりの直接の原因とはいえません。

まれに歯のかみ合わせのわるさや歯並びが原因になっていることがあります。

入れ歯の不具合でかみ合わせが悪くなっているケースもあります。

また、歯ぎしりを日常的に行うことで歯が削れて知覚過敏の原因になることがあります。

これらは歯科医で精密検査を受けることで治療の方策が見つかることもあります。

中田弥生

歯ぎしりの症状

人の噛む力は、強い人で100kg以上と言われています。

歯ぎしり(ブラキシズム)は、その強い力が無意識に歯、歯ぐき、歯を支える骨やその周囲の組織に加わるため、さまざまな影響を及ぼします。

1. 虫歯がないのに歯がしみる

自然界の中で2番目に硬いといわれている歯の表面のエナメル質。

そのエナメル質同士が当たることで表面が削れます。

または、歯にミクロのヒビ(亀裂)が入ることで、神経までの距離が縮まり虫歯 でもないのに歯がしみることがあります。

2. 歯が欠ける

歯と歯茎の間部分はとても弱く、衝撃により歯が削れてしまうことがあります。

くさび状欠損といい、神経に近いところまで削れると冷たいものがしみてくる可能性があります

3. 顎関節症(あごの痛みなど)

歯周病歯ぎしりによる力は歯だけでなく、顎関節にも負荷としてかかり、顎の中にある関節円盤という軟骨がずれてしまったり、周囲 の筋肉が痛くなったりします

4. 顔面の変形

歯ぎしりをしていると咬む筋肉が緊張し、盛り上がることがあります。

それにより、顔が大きくなったように見えます。歯ぎしりによる筋肉の引っ張る力の方はとても強いため、エラが張ったような状態を作りやすくなります。

5. 頭痛

頭の横にある側頭筋は咬む筋肉(咀嚼筋)の一つです。

歯ぎしりにより、咬む筋肉が緊張するということは、頭の横にある筋肉も緊張してしまいます。

それにより偏頭痛が引き起こされることがあります。

6. 肩こり

歯ぎしりにより咬む筋肉(咀嚼筋)が緊張することにより、顎につながっている筋肉である、肩や腰の筋肉まで緊張してしまい、肩こり、腰痛といった症状として出てきます。

岸宏美

歯ぎしりの治療法

最後に治療法ですが何種類かあります。

自身にあった治療法を歯科医師に相談し、考えていくことが重要です。

ナイトガード(マウスピース)

最も一般的な方法がナイトガード(マウスピース)です。

基本的には夜間につけていただき、歯が削れたり、かけたりするのを防ぐ、詰め物が割れたり、外れてきたりするのを防ぐ効果や筋肉の緊張を和らげ、朝起きたときの顎の痛みを軽減することもできます。

また夜歯ぎしりしているときになるギリギリという音も軽減されます。

ただし歯ぎしりそのものをしないようにするわけではなく、歯を守るための対症療法であるということは理解しないといけません。

こちらは歯科医院で保険が適用され、5,000円から6,000円くらいの値段で作製することができます。

市販のものも売っていますが効果が薄かったり、専門家による指導のない状況で使用することにより、顎関節のバランスが崩れたり非常に危険なので必ず歯科医院で作るのをオススメします。

またマウスピースにはソフトタイプとハードタイプの二種類があり、どちらも樹脂(レジン)で作られているもののソフトタイプの方が柔らかく、初めて使う方でも違和感の少ないものになります。

しかしその分ハードタイプに比べ、効果が弱い、歯ぎしりの強い人だと穴が空きやすいなどの欠点もあります。

洗浄はどちらも一緒で流水下でブラシなどを用いて洗うのがいいでしょう。

歯磨き粉などを使うと、成分の研磨剤によりマウスピースが削れてしまうので、もし何か使用する場合は入れ歯用の洗浄剤が好ましいと考えられます。

また熱湯の中に入れたりしてしまうと容易に変形が起こる材料なので注意が必要です。

装着後約一週間くらいで歯科医院で一度使用感、噛み合わせのバランスをチェックし、数ヶ月に一回は問題ないか診てもらうのがいいでしょう。

薬物療法

薬物治療は薬物療法で歯ぎしりを薬で抑制しよう、というものです。

効果的ではありますが、長期服用は薬物依存、副作用の観点から行われません。

現在、ジアゼパム、メトカルバモール、クロナゼパム、クロニジンなどの薬が使用されています。

矯正治療

歯が抜けたままでかみ合わせのバランスが崩れていたり、極端にかみ合わせが高かったり低かったりするような被せ物がある場合には、全体的に均等にかめるように治療、調整を行なっていきます。

場合によっては矯正治療が勧められる場合もあります。

ストレスマネージメント治療

歯ぎしりの根本的な原因はストレスであると言われていることから、ストレスのコントロールをすることが効果的だと言われています。

ストレスを軽減させる治療としては自己暗示療法、精神安定剤を処方する、カウンセリングを受ける、などがありますが、これらは普通の歯科医院で行っているところはあまりありません。

そのため、歯ぎしり治療に力を入れている歯科医院などを探すか、心療内科などと連携を取りながら治療を進めることとなります。

低周波治療

マイオモニターと呼ばれる低周波治療器で筋肉の緊張を和らげて歯ぎしりを起こりにくくする方法もあります。

これも導入している歯科医院は少数派で、歯ぎしり治療に力を入れている歯科医院などで行われていることがあります。

抗うつ剤の使用をやめること

歯ぎしりの原因が抗うつ剤の副作用と疑われる場合には、薬の中止や変更が勧められる場合もあります。

若松慶太


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